8月2日(日)

20年前にシーカヤックを始めてから最近まで、「海くんにシーカヤックを

体験させてあげよう」なんて、夢にも思いませんでした。それはシーカヤ

ックを、そして海を知れば知るほど、その魅力と表裏一体の”危険性”を

痛感していたからです。その思いが変わったのは、2年前に江田島カヌ

ークラブに加入してからです。「この仲間の協力があれば、海くんにシー

カヤックを楽しんでもらえるかもしれない」とメンバーのみんなにお願い

したところ、快く引き受けてくれ、この日の”体験教室”が実現しました。

 

場所は江田島市役所近くの長瀬ヒューマンビーチ。午後3時半。ちょうど

干潮時刻のため、バギーから波打ち際までの長い距離を、担架がわりの

折りたたみベッドに乗せて移動します(バギーでは車輪が砂に埋まってし

まい、移動不能)。

 

シーカヤックに乗って待機していた海パパのもとに到着。抱きかかえて

海パパの前に座らせます。この艇はクラブ主催の”体験教室”(対象は

小学生から社会人まで)で使用する艇で、幅が広く安定しており、コック

ピット(人が乗る部分)が広くて、2人が余裕で座れます。

 

  これが横から見たところ。本来なら、ライフジャケット

 を着けるべきなのですが、そうすると2人の体が密着

 せず不安定となり、かえって危険ではないかと思った

 のです。

 

  スタート直後の後姿。ちなみに、これ以後の写真は

 海ママが2人艇の前の座席に乗って撮影したもので

 す。もちろん後部座席にはサポートメンバーが乗って

 漕いでくれています。

 

  もう岸から100m以上離れました。海くんの体が斜

 めになっていますが、もし真っ直ぐすると海くんの帽子

 のひさしが海パパの”目隠し”になってしまいます。ま

 た、2人の上体が後ろ反りなのは少しでも重心を低く

 するためです。

  写真では海パパの表情は分かりませんが、心の中

 では「バランスをとるのが思ったより難しい!」と、焦

 っているのです。左後ろに見えるのは、万一の”沈”に

 そなえて伴走してくれているメンバーです。

 

  スタート前は、「最低15分は海上散歩を楽しませて

 あげよう」と思っていたのですが、10分弱が限界。細

 心の注意でUターンし、スタート地点に戻ります。

 

  だいぶ岸が近づいてきました。しかし油断大敵。こ

 こでひっくり返ったら、元も子もありません。あくまでも

 慎重に。

 

  ゴール!ほっと一安心の海パパ。「海くん、どうだっ

 た?次はもっと安全な方法を考えてあげるからね」

 

  ヒューマンビーチ隣にある、シーサイド温泉能美の

 家族風呂で潮を流した後は、クラブの宴会に合流。

 

  この日は江田島市主催のサマーフェスティバル。

 8時から始まった花火大会で、2000発の打ち上

 げ花火を楽しんだ後、帰途につきました。

  協力してくださった江田島カヌークラブの皆さん、

 本当にありがとうございました。

 


8月4日(火)

  

  西原家御用達のアウトドア・フィールド”野呂山”の

 オートキャンプ場にやって来ました。2泊3日の家族

 キャンプです。初日の夕方までは、墾一家も一緒。

  この前の家族キャンプは’08年10月、場所も同じ

 ここ17番サイト。しかしこの7年間で墾が結婚し、の

 んちゃんが生まれ、この前一緒だったエミリが星と

 なり、あらたにサラがやって来ました。

  

 

  各サイトには交流電源が完備されており(後方の鳥の

 巣箱のようなものの中にコンセントがあります)、こうやって吸入

 することもできます。

 

  ウィークデイということもあって、我々のエリアには誰

 もおらず、墾一家が帰った後は静かに夜が更けて行

 きます。

 


8月5日(水)

  翌朝、テントの中からベッドごと海くんを移動させ、

 うつぶせにして排痰を促している海ママ。キャンプに

 来ても、やるべきことは毎朝と変わりありません。

 

  木漏れ日のもとで昼寝する海くんと、本を読む海

 パパ。

 

 夕方まえ、周りに誰もいない時間を利用して海くん

の洗髪と沐浴をします。陽の当るところに長時間置

いていた水は暖かく、気持ちよさそうでした。

 

”一っ風呂”浴びた後は、やっぱりビールでしょ!「海くん、新商品の

黒ビールはいかが?」

 

  キャンプ最後の夜。「江田島の花火に比べるとショ

 ボイけれど、これもなかなかいいでしょ」と、海ママ。

 


8月6日(木)

  テントも撤収し、帰り支度もほぼ終わりました。そこ

 へやって来たのは……

 

  海くんが週に3日通う作業所”くれんど”からのお迎

 えの車。そう、海くんはキャンプ場から出勤するので

 す。

 


8月9日(日)

この日から2泊3日の家族旅行です。1泊目は山口県下松市の笠戸島ハイツ。

海くんが生まれる前に何回か利用し、そして事故後は当時新設された障害者

棟にも泊まった思い出の宿。実に20数年ぶりの再訪です。

 

  20年前には各部屋で夕食が取れたのですが、こ

 れも時の流れか…。

 

  笠戸島名産のヒラメもミキサーでいただきます。

 「海くん、この味覚えている?」

 


8月10日(月)

  2日目は山陽道・中国道を走って下関へ。午後1時

 過ぎに下関グランドホテルに到着。チェックイン前に

 もかかわらず、バギーで入りやすい部屋を早めに用

 意してくれました。

 

  窓から正面に見えるのは門司の市街。下に見える

 桟橋はその門司や巌流島への観光船の発着所。そ

 右奥の建物は、これから行く市立水族館(海響館)。

 そして写真では見えませんが、ここから左に200m

 足らずのところに、明日行く唐戸市場があります。

 

  部屋で一休みした後、海響館にやって来ました。

 エントランスに向う長いスロープを見て汗が噴出し

 そうでしたが、左奥にちゃんとエレベーターがあり

 ました。

 

  まず向ったのは、イルカショーが観られるアクア

 シアター。最前列は先着25名限定の”砂被り”な

 らぬ”海水被り”。イルカが勢いよくプールの海水を

 かけていきます。

 

  勢いあまって海水が海くんのところまで飛んでき

 ました。海くん、思わず白目に…。

 

  えてして車椅子席はプールから離れたところにあ

 るのですが、係員さんの粋な配慮でこんな前で見ら

 れて、海くん大満足。

 

  バギーとスロープの関係から、「まずは上の方の

 階から」ということでやって来たのが、マンボウの水

 槽。「小さくて可愛い」という思い込みに反して、すご

 くデカイ!優に2mは越えています。

 

さすが下関だけあって、フグの展示は充実しています。

 

  イワシの群泳は、どこで見てもダイナミックで美しい。

 

クラゲの展示は、アクアスなどに比べるとちょっと見劣りが…。

これも地域性かな?

 

  夕食はホテルの中の和食のお店で。関門海峡と

 門司の市街を眺めながら。

 

  門司に来たら、やっぱりフグでしょう!それにしても

 昨日のヒラメといい今日のフグといい、こんな贅沢し

 てもいいのかなぁ。

 

  海くん用には、刺身を出汁で炊いてもらってミキサー

 にかかりやすくしてもらいました。

 

  夕食後は、ホテルの屋上で営業しているビアガーデ

 ンへ。もちろん海くんもちょっと一杯。

 


8月11日(火)

  旅行最終日の朝食はホテルでは取らず、隣接する

 唐戸市場へ向います。

 

  この時刻(午前9時前)には、もちろん競りは終わっ

 ていますが、

 

  市場の中は見るだけでも結構楽しい。ここ

 での買い物は、アワビ・サザエ・タコ・煮魚用

 のアラとゴメバル、そして名前は忘れました

 がてんぷら用の白身魚。それを、持参した

 クーラーボックスに氷と一緒に入れてもらい

 ます。

 

  そして肝心の朝ごはんは、一番人気の市場食堂

 ”よし”。しかし、お店の前には長蛇の列。

 

それでも40分ほどで入店(お店の人にとても親切にしていただきました、感謝!)。

海パパは海鮮丼、海ママはフライ定食と生うにを注文。しかし、ごった返す店内で

はミキサーが使えず、海くんごめんね。

 

  ホテルに帰って、出発前の一休み。「海くん、この

 10日足らずの間の遊び方はすごかったね」。

 

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