7月31日(月)

北海道家族旅行
3日目の旅程

 千歳⇒日高⇒富良野⇒美瑛 

 

 さあ、北海道旅行の始まりです。今日は、道央の美瑛町まで、200km

を一挙に移動します。まず、道央自動車道を夕張に向けてひた走ります。

道路わきに広がる風景は、いかにも北海道らしい。

 

 夕張で道央自動車道は終わり、そこからは国道274号(石勝樹海ロード)に入ります。

左は、その最高地点にある記念碑。あたりは一面深い霧です。

 日高で国道237号に乗り換え、北上。今日最初の目的地、富良野まであと28km。

 

  富田ファーム到着。「ラベンダーの盛りは過ぎ

 たかな」と心配していたのですが、今年は開花

 が1週間遅れ、今が見ごろとのこと。

  しかし、高原の爽やかさを期待してきたのに、

 とんでもない蒸し暑さ。

 

  海くんにとっても、海ママにとっても、”花より

 団子”?アイスクリームで暑さをしのぐ2人でし

 た。

 

  これがこの日の宿、ペンション”とぅもろう”。

 ベンチレーター協会から紹介され、今回利用

 する2軒のうち1軒目です。JR美馬牛駅のす

 ぐ近くにありながら、原生林と広大な丘陵に挟

 まれた抜群な環境です。

 

 部屋に荷物を置くと、海くんをつれてウッドデッキへ。「海くん、

今まで見たことないような、広々とした風景だろう?」

 

  家族旅行でペンションを利用するのは初めて

 です。「どんな夕食が出るのかな?」という我々

 の期待は、充分満たされました。

  食材の野菜は、全て自家製(もちろん、ソー

 セージも)。みんなの胃腸が大喜びした夕食でし

 た。

 

  就寝前、オーナーご夫婦と記念撮影。実は予

 約を取る段階で、返送されてきたFAXに、「うち

 の図書コーナーに”海くん、おはよう”という本が

 ありますが、その海くんですか?」とあって、大い

 に驚きました。

  しかし伺ってみると、奥さんは学生時代、全障

 研の催しにボランティアで参加したことがあると

 のこと。「なるほど」と納得しました。

 


7月30日(日)

北海道家族旅行
2日目の旅程

 札幌⇒千歳 

 

 これが”マーサ”の内部です。特別な改造はしていません。

障害者が病院から出て自立生活を送る住宅は、バリアフリー

ではないことが多いのです。

 

  マーサから車で1時間かけて、全障研大会

 会場の千歳市総合福祉会館に到着。海ママ

 が担当するのは、入門講座「重度障害児と

 家族の育ち」です。

 

  控え室に入ると、落ち着くまもなく速報担当

 の先生の取材が…。しかし、これが海ママに

 とって、格好の直前練習になりました。

 

 会場には約100人の参加者が。海ママは、自分と全障研との出会い、

事故後の10余年を海や家族、そして全障研の仲間の支えで乗り越えて

きた歴史を語りました。身贔屓ではなく、感動的な話でした。

 

  講座が終わった後、さまざまな人たちが海くん

 のに会いに来てくれました。この方は、以前海マ

 マが青森で講演したとき参加してくれた、八戸の

 養護学校の先生。「海くん、会いたかったよ」

 

  このお2人は、海くんが通う「わかば療育園」

 の療育員さん。海くんのお母さんの話を聞こう

 と、わほざわざ広島からやって来てくれたので

 す。大感激!!

 

  「海くん、もうちょっと頑張って本を売って帰ろ

 うね」海くんは憮然とした表情。

 

  ”お仕事”の後の楽しみは、やっぱり食事。

 この日の夕食は、ホテルに隣接するお蕎麦屋

 さん(ここでも全障研の参加者から「海くん」と

 声が掛かりました)。今からミキサーに掛ける

 のは”長芋のいくら和え”。すっかり居酒屋モー

 ドです。

  さあ、明日からプライベートな旅行を、目一杯

 楽しむぞ!

 


7月29日(金)

北海道家族旅行
1日目の旅程

広島⇒千歳⇒札幌

 

  さあ、家族みんなで楽しみにしていた北海道

 旅行に出発です。主な目的は、千歳で開かれ

 る全障研(全国障害者問題研究会)大会への

 参加ですが、「せっかく北海道まで行ったのだ

 から」ということで、道央を中心に6泊7日の旅

 行を楽しむことにしたのです。以前から、「北海

 道に行ってみたい」と言っていたバーバも一緒

 です。

 

  空港に到着してまずやることは、座席の交渉

 です。海くんを横にさせるため、複数の座席を

 確保しなければなりません(もちろん、料金は1

 人分のままで)。

 

  交渉の甲斐あって、3席が海くんのために用

 意され、楽な姿勢で旅することができます。現

 場スタッフの配慮に感謝です。

 

  約2時間の後、新千歳空港に到着。そこに

 待っていてくれたのは、”ベンチレーター(人工

 呼吸器)使用者ネットワーク”が運営するハン

 ディキャブ。我々は、翌日からこの車を借りて

 旅行することになるのですが、そのレンタル料

 は何と1日1000円(!)。

  そんなお得な情報を、どうやって海ママがキ

 ャッチできたか?種明かしは後ほど。

 

  到着後直ちに向かったのは、札幌市中心部

 にある勤医協菊水こども病院。ここは、全障研

 を通じて知り合った福原先生ゆかりの診療所。

  旅行中、海くんの体調の急変に備えた”駆け

 込み寺”として頼りになる存在でした。

 

  この日は勤務の関係で、福原先生以外のお

 医者さんに海くんの健康チェックをしてもらい

 ました。その直後、若い看護士さんたちが海く

 んを見に(診に?)集まってきてくれました。

 

  さて、この日の夕食のためにやってきたのは

 一体どこでしょう。この写真だけでわかれば、

 あなたは”札幌通”。

  正解はサッポロビール園。

 

  ここにも車椅子用の昇降機が備え付けられ

 ており、バリアフリーが進んでいました。

 

  この夕食の場をセットし、我々を待ち受けて

 いたのは、ベンチレーター協会会長の佐藤き

 みよさんたち。佐藤さんと知り合ったきっかけ

 は、昨年ハワイ島でお世話になった林左絵子

 さん(すばる天文台勤務)の紹介です。

  今回の旅行では、佐藤さんを初めとした協会

 の皆さんに、車の貸し出しやペンションの紹介

 など、一方ならぬお世話になりました。

 

  名物の、生ラムのジンギスカンや飲み放題の

 ビールに、大いに話も盛り上がります。海くんも

 スープを中心にたっぷり食事を楽しみました。

 

  たっぷり食べて、飲んで、話した後の記念撮

 影。

 

  今から向かう宿泊所は、「人工呼吸器をつけ

 ていても、病院から出て自立生活を送りたい」

 という人が、そのトレーニングのために利用す

 る、”自立生活体験施設”マーサ。これは交通

 至便なマンションの中にあり、しかも利用料は

 格安。後列左は、この日ハンディキャブを運転

 してくれた安田さん。

 


7月24日(日)

  北海道(全障研大会)へ行く日が近づいてきま

 した。夏休みにもなったし、「ここらでちょっと、イ

 メチェン!」とばかり、海くんの髪を染めることに

 しました。

  「海くん、今はこんな色だけど、染めたらどうな

 るかな?」

 

  ビニールシートを敷いて、染髪開始。薬剤を

 後頭部につけるときには、撮影を一時中止し

 て、海パパも手伝います。

 

  薬剤をつけ終わると、キャップをかぶせて染

 込むのを待ちます。こんな紫色が一体どんな

 色に変わるのか、海くんも不安そうです。

 

  ころあいを見計らって、シャワーで薬剤を洗

 い流します。  

 

  仕上げにドライヤーを当てて、完成です。 

 

  「どう?素敵な茶髪になったでしょう」と、鏡で

 海くんに確認させている海ママ。でも、これって

 厳密に言えば”校則違反”?

  北海道でお会いする皆さん、茶髪の海くんを

 どうぞよろしく。

 


7月20日(水)

  「中国地方梅雨明け」2日後のこの日。真夏の

 日差しの下、養護学校のプールで思い切り楽し

 みました。

 

  プールサイドにいる先生が、たてに半分にした

 ペットポトルに赤い柄をつけたものを、海くんに

 持たせてくれました。

 

  なんとそれは、プールにたくさん投げ入れられ

 たカラーボールを、集めるための道具だったの

 です。集めたボールはどうするのかな?

 

  実は、クラスのみんなで、プール中に散らばっ

 たカラーボールを、プールサイドのゴールに入

 れる「水中玉入れ(?)」だったのです。

 


7月14日(木)

  養護学校の宿泊学習で、安浦町のグリンピア

 (学校から車で50分)にやってきました。今晩

 泊まるホテルの前で、クラスのみんなと一緒に

 記念撮影。

 

  早速みんなはローラー滑り台で大はしゃぎ。 

 ちょっと、つまらなさそうな海くん。

 

  この日はとても日差しが強く、先生たちが運動

 会用に作ってくれた日除けが、大活躍。

 

 一遊びした後のお昼ご飯はカツ丼。ミキサー処理して食べさせてくれたのは

この日特別に付き添ってくれた看護士さん(いつもの派遣看護士は、宿泊を伴

う学校行事には参加できない決まり!)。

 

お昼の後は、担任の佐藤先生とトランポリン。「もっとダイナミックにやって」

 

  動きの激しい遊びの後は、カラーボール一杯

 のプールで一休み。

 

  いつものプールと違って、何かちょっと変わっ

 た感じ。

 

  大遊びして、一風呂浴びて、「ああ、いい気持

 ち」

 

 宿泊学習の一番の楽しみは、晩ご飯。海ママ曰く、

「ミキサーにかける前の写真を見たかったなぁ」でも

とてもおいしそう。

翌日、グリンピアを出て向かった先は…

  安浦町は、別名「ケナフの里」と呼ばれていま

 す。ケナフは一見、花のないコスモスのような植

 物で、二酸化炭素を吸収する能力に優れており

 地球環境を守るエースと言われています。

  そして、このケナフを使うと、とても味のある紙

 ができるのです。その工房にやってきました。

  まず、ケナフをすりつぶし、水に溶かした原液

 を型枠に入れて…。

 

  型枠から取り出した紙を、乾燥台の上に乗せ

 てローラーでしわを延ばします。

 

  すっかり乾燥した紙にスタンプを押します。

 「何のスタンプかなぁ?」

 

  実は、海くんが作ったのは「葉書」。押した

 スタンプは郵便番号の枠だったのです。

 


7月11日(月)

  今日は海くんが通う養護学校の参観日。授業

 は体育。まず運動する前のストレッチ。

 

  海くんのクラスメイトがやっているのはゲート

 ボール。「でも、海くんにはボールが小さすぎて

 見えん。海くんにもわかるような、大きなボール

 を使って」という海ママの願いを受けて、大きな

 スポンジボールと赤い柄のついたペットボトル

 が用意されました。

 

  「海くん、いまからこのボールをペットポトルで

 打って、前の先生が持っている輪の中に入れ

 るんだよ」

 

  海くんの、この真剣な顔。果たしてボールは

 輪の中に入ったかな?

 


7月 9日(土)

  この日、梅雨の雨が降りしきるなか家族(敬治

 ・由美・海・バーバ)が向かったのは京都。目的

 は、理乃の新しい下宿を見ることと、4月から通

 っている龍谷大学の法科大学院を見学すること

 です。

 

  これが法科大学院の正面。名神高速の京都南

 インターから10分のところにあります。理乃の新し

 い下宿は、ここから歩いて10分足らずと、至近距

 離にあります。 

 

  ここは院生の談話室。恥ずかしそうにポーズを

 とる理乃と、威張って写る海くん。

 

  ここは、正面玄関ホール。壁にかけられた絵

 が、いかにも京都らしい。

 

  ここは大講義室。「壁際に置かれた学生机や

 専門書は一体何?」と思っていると…。

 

  それはなんと、夜遅くまで残って勉強する院生

 個人に割り当てられた、勉強スペースだったの

 です!勉学の場にふさわしい条件整備をお願い

 したいです。

 

 この建物は、元ある銀行の支店だったとのこと。大講義室の外の通路には

その名残の大金庫がずらり。そして、それは現在、書庫として使われています。

「よっぽど貴重な書物がぎっしり詰まっているんだろうなぁ」

 

  ここは最上階にある、院生専用のラウンジ。

 先ほど紹介した勉強スペースで深夜まで勉強

 したときは、下宿には帰らず、寝袋に包まって

 壁際の長〜いソファーの上で一夜を明かすの

 だそうです。

 

 法科大学院を出て我々が向かったのは、京都市役所。実はここで、

「自立支援法」反対の集会が、京都の各障害者団体の共催で行われ

ることを知り、駆けつけたのです。しかしせっかくの雨。海くんを車に残

し、海ママのみの参加となりました。

 

  そして、夜はお決まりの宴会。理乃の元の下

 宿近くにある「串八」(絶対お勧め)で、大いに

 盛り上がりました。

 


7月 8日(金)

  最近、海くんは養護学校の通学バスで、毎日

 登校しています。その介助のために、2人のヘ

 ルパーさんが8時過ぎには我が家にやってき

 ます。

 

  梅雨の晴れ間の強い日差しを避けるために

 サングラスも欠かせません。

 

  通学バスは、団地の周回道路に停車します。

 車椅子で乗車するための、特注スロープ。これ

 をセットするのが、結構大変です。

 

  次に、バスの中の電動ウインチからワイヤー

 を引っ張り出して……。

 

  ワイヤー先端のフックを慎重に、バギーのフ

 レームに引っ掛けます。

 

  ウインチで引っ張りあげて、乗車完了。

 このように、スロープでの乗車は結構大変(特

 に、雨の日は危険)です。現在、もっと安全で

 簡便な乗車ができるよう、更なる改造を学校

 や県にお願いしています。

 

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