ついに「胃ろう」の手術を決意

 海のような意識レベルの障害児は、2次障害として胃の入り口が緩み、

そのため胃液が食道に逆流する症状が見られます。これが続くと食道の

内壁がただれ、穴が開いたりその部分がガン化したりしてしまいます。

 海もずいぶん前から、時々コーヒー状の物を吐いたり、気持ち悪そうに

顔をしかめ、よだれを噴出すように吐いたりということがありました。入院

して逆流の検査(食道にチューブを挿入し、Phを24時間測定)してみると

逆流する症状が見られるのです。

 これへの対策としては、胃の入り口を逆流しない程度に縛ります。そうす

ると今までのように、口からチューブを挿入し食事することができないので

お腹と胃に穴を開け(胃ろう)そこに通したチューブを利用します。

 「6年前、咽喉に穴を開けた(喉頭気管分離)のに続いて、今度はお腹に

穴を…」と考えると、なかなか手術の決心がつきませんでした。検査の結

果も、ときには手術の必要がないような数値を示したり、胃ろうをを造って

はみたものの、具合がよくなかった人の話などを聞くと、ますます迷います。

 しかし、程度の差こそあれ逆流は常にあり、食道の荒れは徐々に進んで

いるのは確かです。そのうえ体の変形(特に脊柱の前湾曲)も進行し、手術

のタイミングを逃してしまう恐れも大きくなっています。このたびの、東京で

の精密検査も、自分たちの迷いを吹っ切るためのものだったのです。

 その場で、尊敬する舟橋先生から言われた「手術するのなら、今以上に

悪くならないうちの方がいい。今年の課題ね」というアドバイスが、私たちを

最終的に決断させました。海は5月6日(火)広島市民病院で手術を受けま

す。入院期間は2〜3週間。その間、原則的に由美は24時間付き添うこと

になります。

 手術によって不快な胸焼けがなくなり、よりスーパーな海くんに変身してく

れることを祈って、家族全員で頑張ります。         ’03年4月記

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