第1話 そうだ、ビジネスクラスでハワイに行こう !

「海をハワイに連れて行きたい。もう一度ハワイの匂いを海に味わってもらいたい。」海とはこれまで

2回(’02年と’04年)ハワイを訪れていますが、2年くらい前からこんな思いが膨らみ始めました。

 ハワイ旅行での大きな壁は、飛行機。通常のエコノミーの座席は余りにも狭く、海が10時間近くを

安全快適に過ごすには余りに厳しい状況です。飛行機にストレッチャーを設置する方法もありますが

片道の航空運賃はなんと150万円!過去2回のハワイ旅行ではエコノミー席を3席購入し、離発着

以外は横に寝せていく方法をとりました。気圧の変化や様々な心配はありましたが、たくさんの人の

サポートを受け、心配したことがまるでうそのようにあっけなくハワイに到着。思いっきりハワイの風を

味わい、日本では味わえないエキサイティングな日々を送ることができました。

 2年前の沖縄旅行の際は、毎週訪問リハビリを行ってくれる、理学療法士の木村さんが入念にリハ

ビリ計画を立ててくれ、座位保持の訓練を継続。その結果らくらく座位がとれ、2時間のフライトを無

事クリアすることができ、ハワイへの夢に一歩近づきました。しかしハワイとなると、飛行時間は沖縄

の約5倍。これをなんとするか。「そうだ、ビジネスクラスを使っちゃえ!」離発着時のみ座位を頑張っ

てとり、それ以外の時は180度フルフラットになるビジネス席を利用することにしたのです。本来なら

私たちには“高嶺の花”のビジネス席ですが、低料金で利用できるプランを発見したのです。福岡空

港からデルタ航空ビジネスクラスを利用する低価格プランです。関空、成田は空港到着までに時間

がかかりますが、福岡なら新幹線で2時間弱。地下鉄利用で海との移動も割りと簡単です。

 リハビリでこんな姿勢もとれるようになりました

デルタ航空はアメリカの航空会社、先ずは阪急旅行者の担当者に車椅子での旅行希望を伝えま

す。座位可能な時間は1時間程度。これまでに2回のハワイ旅行の経験はあるものの、吸引機や吸

入器などの医療器具利用が必要なこと。自力では歩けず、食事は胃ろうからチューブで注入などな

ど。旅行社を通して何度かデルタとやり取りを開始しました。以前はJALを利用しましたが、スカイア

シストデスク(障害をもつ人の旅のサポート窓口)が本人の細かい症状を確認し、医師の診断書や同

意書などの書類提出を山ほど求められ、障害者が飛行機を利用することの“バリア”を嫌というほど

思い知らされました。今回もたくさんの書類を求められるだろうと思いきや、デルタ航空から何点か

質問を受けたのみで、10月末に搭乗可能との回答があり一安心。細かい質問や状況説明をデルタ

航空と直接行いたいと旅行社に言いましたが、デルタでは英語でのメールのやり取りしかできないと

のこと。一抹の不安はありましたが、旅行社を信じるしかありません。

 「海くん、今度こそまたハワイにいけるよ。」、昨年も1度計画していましたが、日程がどうしても調整

できず泣く泣くあきらめていたので、喜びもひとしお。オアフ島を走るバスはすべてスロープがついて

いて、海のような車椅子でもバスで島を1週することも可能です。「今度はバスを使ってノースショアま

で行こう!」なんて、早くもテンション上がりまくり。さあ、お次はパスポート。

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