海 マ マ の
ケアマネ・チャレンジレポート

第0章 そもそもケアマネってなに?
第1章 「仕事がしてみたい!」の一念で
第2章 20年ぶりの受験勉強、始めてはみたけれど…
第3章 あせりと不安がこうじてヘルペスに
第4章 夫に、「合格?orダメ?」と繰り返す毎日
第5章 「ヤッター!」 でも、また゜また゜
第6章 アドバイスなんて、おこがましいんですが

 

第0章 そもそもケアマネってなに?

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)

 介護保険法による介護保険制度が平成12年より施行された。この制度の下、

介護や支援を必要される高齢者(要介護、要支援者)へ、個々の解決すべき課題

や状態に即した、適切で効果的な介護支援サービスを提供する重要な役割を果た

すのが介護支援専門員(ケアマネジャー)である。また、介護支援専門員(ケアマネ

ージャー)の試験を受けるためには、5年以上の実務経験をクリアーしなければな

らないという条件もある。

詳しくは http://www.shikakude.com/kosikakupaje/kaigoshien.html をご覧下さい

 

第1章 「仕事がしてみたい!」の一念で

 

   海の事故以後、あれほど打ち込んでいた看

護師の仕事をやめざるを得ませんでしたが、

もう一度仕事がしたいな〜という思いを海ママ

は持っていました。

 昨年(’03年)5月に懸案だったお腹の手術

も終り、海は養護学校へ週4日ぐらい通える

体力もついてきました。海の側から片時も離

れられなかった頃からは、想像もつかなかっ

た生活がやっと可能になったのです。お腹の

手術も思ったより順調で、いつもながら海の

たくましさ・パワーには家族みんなが励まされ

ました。

 海がこんなに頑張ったのだから、海ママも社

会にもう一度出るための準備をしなくては!

でも、看護師としていきなり仕事を始めるには

何となく不安もあるし…。そんなときに思いつ

いたのが介護支援専門員(ケアーマネジャー)

の資格でした。

 ’03年4月から障害者の福祉制度が大きく

変わり、支援費制度が始まりました。しかし初

めての制度のため、聞きたいことがあっても

正確な情報がなく、もどかしさを感じていまし

た。また、同居している母も介護保険を利用

することになったのですが、わからない事が

山ほどあって… 。それならば、いっそのこと制

     度を知るためにも、「私がケアマネージャーの

資格をとってやれ!!」という気になりました。

海の訪問看護に来てくれる看護師さんが昨年

この資格試験に合格していた事もあって、「頑

張ればなんとかなるかも?」と、単純な海ママ

は考えたのであります。

 しかし、介護保険が始まって丸3年。このケ

アマネージャーという仕事は、福祉分野では

注目されているようで、何と合格率は3割。現

場で働いている人たちでさえ、なかなか合格

するのは難しいという事を後で知りました。で

も、時すでに遅し。周りの人に「わたしね〜、

介護支援専門員の試験に挑戦してみようと思

うんよ」と、散々言いふらした後で、もう後には

引けぬ状態となっていました。

 「え〜い!こうなったらヤルシカナイ!海ママ

の意地を見せてやる」強がる事で、自分を励

ます海ママです。こうして去年の6月から、10

月の試験に向けて、海ママのお勉強が始った

のであります。

 

第2章 20年ぶりの受験勉強、始めてはみたけれど…

 

 試験と名のつくものは、看護婦の国家試験

が最後です(今から20ウン年前)。最近では、

スクーバーダイビングの試験を受けましたが、

これはあくまで趣味の世界です。

 海ママは、けっこう思い始めるとのぼせるタ

イプで、家族の皆からはあきれられ、疎ましが

られます。ダイビングの時も、波が怖くてなか

なか潜れずパニックを起こしたり、趣味で始

めたにもかかわらず、海ママにとっては苦し

み(?)に感じられるのです。

 「そんなに思いつめる事ないじゃん!」、「で

も、その執念深さがあるから、夢が可能にな

るんじゃろうね〜」、家の中でシュノーケルを

つけ、海の中でのイメージトレーニングをして

いた海ママに、墾は呆れ顔でした。

 だから、今回また新しい事に挑戦しようと張

り切る海ママに、家族はまた大変なことが起

こるのでは?と心配していたようです。しかも、

今回はなかなか手ごわい試験です。

 さっそく、紀伊国屋にて介護支援専門員の

基本テキストを購入しました。何と、分厚いこ

と。中をぱらぱらめくってみましたが、まるで

宇宙の言葉のようです。保健医療の分野は、

まだ少しは読めるものの、メインの介護保険

分野はチンプンカンプン。でも、もう後戻りで

   きないので、とにかくテキストを読んでみる事

から始めました。そして、昨年1回の受験で合

格した、海くんの訪問看護担当のA さんに勉

強の仕方や分からない点を、訪問に来るたび

に、しつこく聞きまくりました。それから、黒瀬

町役場に出かけ、介護保険関連のパンフレッ

トをかき集め、とにかく情報収集に徹する海マ

マでした。

 7月に入ったころには、どうにかテキストを

読み通す事ができ、なんとなく介護保険の仕

組みや、介護支援専門員の仕事の内容など

を、おぼろげながらつかむ事ができました。

 が、最初一寸張り切りすぎたせいもあり、少

々疲れが…。おまけに、「まあ!お母さん、あ

の試験はね〜、今なかなか合格できんのよ。

年々難しくなりよるよ」と、知り合いの婦長さん

から言われてしまい、またまた1人でお勉強

する大変さを痛感し、へこみまくる海ママでし

た。

 

第3章 あせりと不安がこうじてヘルペスに

 

 こうして海ママのお勉強が始りましたが、

覚えてもなかなか頭には入っていかない

し、一人で勉強をやっていく難しさを痛感

しました。7月まで頑張りすぎたこともあっ

て、8月に入ってからは、「もうどうでもい

いや〜。何も1回で合格することもないん

だし…。」と、弱気になった時期もありまし

た。

 そんな折、病院に勤務している友だちか

ら、看護協会で受験対策の講習会が開か

れるという情報をもらいました。孤独な勉

強に不安も感じていたので、さっそく申し

込み。2日間の研修の為、海はショートス

テイに御願いし、往復の時間と旅費がも

ったいないからと、市内のホテルに宿泊

予約。「家族にいろんな迷惑かけて、落ち

たらどうしよう〜」万全の研修体制を整え

つつも、ますます不安が募る海ママでした。

 しかし、この研修が結構いい刺激になり

停滞気味だった勉強に勢いがついた気が

します。だって、300人近い看護師さんた

ちがテキストをひろげ、「アレはこうだった

わよね〜」とか、「これってどういう制度じ

ゃったかいね〜」なんて、同僚と話してい

   るのが耳に入ってくるんですもの。海ママ

は、テキストを読んでいるふりしながら、耳

をダンボのごとくひろげ、みんなの勉強の

進み具合を偵察します。そして、「やっぱ

り、がんばろーっ」て、こぶしを握ったので

ありました。

 そして9月、「あと2ヶ月近くしか時間が

ない!」焦りが襲ってきます。朝、4時にな

ると目覚ましなしで、目がぱっとさめます。

そして、テキストをひろげ、過去問をやりま

す。こんなに真剣にお勉強したのは、本当

に20年ぶり。なんだか、頭の一部がちくち

く痛みます。「あら、どうしたのかしら…?」

脳外科を受診した海ママの、検査結果は

なんとヘルペス!正常値の10倍近い水

痘ヘルペスが血液検査の結果から分かり

ました。「なんか、最近ストレスためてない」

医師の言葉に苦笑いです。

 恐るべし、ケアマネ受験!

 

第4章 夫に、「合格?orダメ?」と繰り返す毎日

 

 そんなこんなで、あっという間に試験当日

がやって来ました。だんだん試験が近づく

につれ不安は募っていきましたが、当日は

何とか気持ちを高めないといけません。

 「これでダメなら、来年また受ければいい

さ!」そうかと思えば、「海の介護の経験を

生かせる私が、試験に受からんわけがな

い」 いろんなことを1人で考えながら、受

験票を握り締めた海ママです。

 試験会場なんて、ほんと何年ぶりかしら。

ほんと、緊張しましたよ。会場の広島大キャ

ンパスには、臨時バスが次々に到着し、な

かから続々と人が降りてきます。皆言葉す

くなに、自分の教室に入って行きます。私

の受験番号は201317。

 教室では、最後のあがき、参考書や過去

問を時間を惜しんでめくる光景が。もちろん

海ママも悪あがき。

 試験は思ったより難しかった。わかってい

たつもりの事柄が、頭のなかでこんがらがっ

て、「海くん助けてくれ〜」。「試験終了10分

前です」試験官の声に、なんだか頭がカーッ

となりました。

    こうして、90分の試験はあっという間に終

り、外に出る皆の顔は様々です。海ママは、

もうダメだと思いました。合格ラインは8割正

解。3分野あって、各分野で8割取ると確実

に合格らしいのですが、わけのわからん問

題が、何問かありました。思わず涙が…。何

で涙が出るのか分からないのですが、くやし

涙が…。

 試験が終わったらお昼ご飯を食べようと、

大学の正門で待っていた夫になんと言ってよ

いのやら。おいしいビールを飲もうと思ってい

たのに、やけに苦いビールとなりました。

 その日から、他の意味での地獄が夫にや

ってきました。一日のうち何度か、「ね〜やっ

ぱりダメかね。もしかして合格してないかね」

わたしの質問攻めが、合格発表日の朝まで

続く事になったのです。

 

第5章 「ヤッター!」 でも、また゜また゜

 

 合格発表は12月6日。試験日は全国同じ

日にちですが、発表日はどうやら広島県が

一番早いらしい。しかも、ネット上での発表

と、県の社会福祉協議会の玄関への張り出

しの両方です。

 発表までの40日間、本当に長かった。試

験が済んで2週間ほどは、なんか気が抜け

たようになってしまいましたが、しばらくする

と結果が非常に気になり始めます。「やっぱ

りダメよね〜。いや合格してるかも??」 1

日のうち、何度かはそんなことを考える海マ

マです。

 そして発表の日。ぐずぐず考えても仕方が

ないし、もう結果は出ているんだから、ネット

発表までの3時間、あれこれ悩むのがいや

になりました。県の社会福祉協議会の玄関

への貼り出しは、12時。ネットより3時間差

があります。そしてここからが、西原家の恐

ろしい所。夫はこの日、学校が試験日で昼す

ぎには学校を出られるので、一緒に見に行

こうというのです。結果はどうでも、自分の目

で確かめよというのが夫の意見です。

 こうなったら仕方がない。昼過ぎに社会福

祉協議会目指して出発です。50分後に到着。

すると、「考えることは皆同じ」玄関前の路上

に数台の車が停まっています。そして、玄関

を入ったところの掲示板に、それらしい紙が

貼ってあり、数人の女性が食い入るように見

入っています。

 実は、自分の受験発表見るの、なんと海マ

マ初めてなんです。ドキドキなんてもんじゃあ

   りません。胸バクバクです。あ、ありました!

思わず、受験票の番号と再確認。間違いあ

りません。ルンルンで車に戻ると、「落ちとっ

たら、どうしようかぁ〜と思った」、と夫。やっ

ぱ、みんな心配してくれてたんだ!この日の

ビールは最高においしかった。

 こうして、海ママのケアマネ試験は無事終

了しました。でも実は、これで資格がもらえた

わけではないんです!介護支援専門員にな

るための「研修を受ける資格」がもらえただ

けなのです。これからまだ72時間の指定さ

れた講習を受け、レポートを書かなければな

りません。

 とはいえ、海ママは夢にまた近づけたこと

で、自信を持つ事が出来ました。辛かったお

勉強も、今になればなかなか刺激的だったよ

うにも思えるから、不思議です。自分が何か

に打ち込める時間をもてたことが、嬉しいと

いう気持ちもあります。

 家族の皆が、私のやりたいことをいつも理

解して応援してくれるから、次から次に海マ

マは挑戦できるのだと思います。人間まんざ

ら捨てたもんじゃありませんよ。海の介護の

経験が、介護支援専門員として生かされるよ

う、せっかく手に入れたチャンス。

 頑張るよ!

 

第6章 アドバイスなんて、おこがましいんですが

 

 最後に、執念深い海ママからアドバイス。

ケアマネ受験の為の通信講座などもたくさ

んあるようですが、テキストをしっかり読ん

で、過去問を何度もやれば、独力で何とか

なると思います。

 そして、介護の仕事や、新聞記事、役場

にある介護保険情報など、こまめにチェッ

クする事。

   海くんの支援費制度とも重なって、お勉

強の内容はとても参考になりました。これ

で、海ママのレポートを終ります。

 

海 マ マ の
ケアマネ・チャレンジレポート

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